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「新しい農と食」。まちの流れをつくる農家と料理人をインタビュー(2/3)

新型コロナウイルス感染症が世界に拡大して1年半あまりが経ち、長く苦しい我慢が続いている。そんな中、まちに新しい流れを作ろうと動く2人を、3回にわたってご紹介する。

前回の記事はこちら👇

東温市に店を構えるイタリア料理OTTOオーナーの矢野さんが、開業10周年を迎えるに当たって考案したのが、パクチービール「Toby white ale(トビーホワイトエール)」だ。

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バランスの良いベルジャン系。飲みやすさの中にパンチがあり、パクチーとレモンの爽やかな風味を加えた。ラベルキャラクター「トビー」は矢野さんデザイン。

原材料のパクチーを生産するのは、東温市青年農業者協議会にも所属する廣川慎太朗さん。パクチーは愛媛県が東温市で産地化を目指している。

矢野さん きっかけは慎太朗と『何かやりたいよね』ってぼんやりした話から。パクチーを根付かせたい想いがあったので、じゃあパクチー使ってビールを作ろうってなった。

矢野さんが廣川さんと出会ったのは8年ほど前。意気投合し、飲み仲間になった。「廣川農園がいろんなイベントでポップアップしているのにはすぐ気づいていて。自分も畑をしていたから『いつか出会うやろうな』って感じ」。

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廣川農園 廣川慎太朗さん

廣川さんは市内農地を1・2㌶借り、パクチーやブロッコリー、インディカ米などを栽培。「東温パクチー」としてブランド化を進めている。出荷先は松山市と周辺の飲食店が中心だったが、コロナ禍で注文が減少。個人向けを増やしながら、他の地域への出荷を模索した。

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3年前の廣川さん

新たな販路は地元東京。品川で毎週末に開催されるファーマーズマーケットを知り、昨年12月から出店を始めた。

廣川さん 1日で愛媛の1カ月分のパクチーを売り上げたこともあります。

常連客がつき、飲食店との取引も開始した。東京での手応えを感じ、直売所「nazono808(謎の八百屋)」の出店を決めた。

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廣川さんが手がけるサンバルソース。東温市産プリッキーヌと県内製造の国産アンチョビを使ったオリジナル調味料。

廣川さん 端から見たら何やってるかわかんない倉庫です。『謎だな〜』ってなりますよね(笑)。でも一見のお客様にも販売できますし、地方の農家が直接販売や卸しをやるのが東京ではあまりないから。

廣川さんは3年前から中予地方局が進めるパクチー産地化プロジェクトの中心人物。所属する東温市青年農業者協議会は、2018年5月に開催された「第54回愛媛県若い農業経営者大会」の事例発表で優秀賞を受賞している。

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受賞したのは、エスニック野菜の販路拡大と通年栽培のプロジェクト。市場価格を落とさないよう出荷量を調整した。エスニック野菜のなかでもパクチーは病気に弱く農薬も使えない。土づくりを一から見直して、病気に負けない畑を作った。

廣川さん

廣川さんはイベントにも積極的に参加。パクチーを使ったランチボックスや野菜カレーを提供する。

廣川さん エスニック野菜は扱ってくれるお店も多い。東温市に行けばエスニック野菜は全部手に入るような未来を目指したいです。

昨年は市内飲食店ともコラボを続け、東温パクチースタンプラリーに取り組んだ。

店舗10周年を迎え、矢野さんが次に手がけるのは。>>続きは第3回で

このnote記事は広報とうおん2021年6月号に掲載した内容をもとに作成したものです。

05211500 広報とうおん2021年6月号


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