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地方祭、二百年の先へ。(2/3)

この記事は広報とうおん2021年11月号特集をWEBに転載したものです。公共施設や市内コンビニ、銀行、病院などにある広報紙はご自由にお持ち帰りください。

東温の獅子舞の起源は200年以上前に遡る。

青年団や若い農業者を中心に普及し、今日まで伝えられてきた。

時は過ぎ2020年、
新型コロナウイルス感染症が世界に猛威を振るい、
イベントや伝統行事は相次いで自粛。

生活は一変した。

感染拡大から1年半。
秋晴れの空に懐かしい音色が戻り始める。

10月10日、頭を垂れる稲穂が広がる景色の中で地方祭が催された。

伝統を絶やさぬよう当日を迎えた各地の様子を、カメラが記録する。


「初めに思うのは、早くコロナが終息してもらって、今までどおりの伝統行事の継承ができる世の中にならないといけないということ」

髙須賀啓治さん(38)は語気を強めた。

静かに隊列をなし、軽トラックで神輿を運ぶ宇氣洲會の皆さんから
熱気が伝わる。

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地方祭開催に向け、役員のみの参加とし、
子どもには声をかけなかった田窪地区。

全ては、感染対策と伝統行事を両立するための判断だった。
“せっかくなら”と、ただ神輿を巡回するだけではない、
ある工夫が施されていた。

緑色の紐で結ばれたシトラスリボンのキーホルダーだ。

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シトラスリボンを持つ高須賀さん


「シトラスリボンを皆さん知っていただきたくてお願いしました。この活動は、社会復帰の心強い力になると信じています」

南吉井小学校でPTA会長を務める髙須賀さんは、
同じく川上小学校のPTA会長、松本司さんが発起人として取り組む
同プロジェクトに共感。

役員全員のマスクにリボンを付けて、
新型コロナウイルスに感染された人の社会復帰時に懸念される、
差別や偏見の解消を願った。

『新型コロナウイルス感染対策を徹底しながら、神輿が巡回しております』

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秋を告げるお祭りの音楽とアナウンスが流れる。

神輿を乗せた軽トラックが畦道を進む。

「少人数で寂しいけれど、神輿を出すことだけにも意義があるのではと思います。現状できる最善を尽くすことで、みんなが笑顔になれる祭り、地域になれたと讃えたい。獅子舞は2年のブランクがあります。取り戻すのは簡単なことではありませんが、保存会、総代会、宇氣洲會が力を合わせれば必ずできる」

髙須賀さんは前を見据える。

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主催者の思いは地域にも伝わっている。

観覧した東美鈴さん(69)は

「毎年神輿が見れるのを楽しみにしています。せっかくの晴天で獅子舞が見られないのは残念ですが、地域が賑やかになって元気をもらえました」

と頬を緩めた。

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参加した宮本春雪さん(19)は

「縮小はしましたが、伝統を残すことができました。僕たちのような若い世代がこれからも地域を盛り上げていけたら」

と意気込む。

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参加した宮本さん。若い力が地域に必要。

「今まで寂しかったので、地域の皆さんも楽しみにしてくれている。一緒に笑い合えるお祭りを来年こそ」

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鯉口と法被に身を包んで歩く皆さんは、来年に向けて力を蓄えるように歩調を強めた。

3/3へ続く>>


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