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身長189cm。それ以外にカードなくて広報としての無力さを痛感した話。【広報撮影裏話】

「何cm?」
「189cmです」
「たっか!!!」

こんな会話を人生で何度しただろう。

身長189cmの私は、初見の方との会話で大体「身長を聞かれる」タイムがある。この次にくるフレーズ第1位は「スポーツ何やってたの?」。第2位は「天井に頭ぶつけないの?」。そしてグッと頻度は落ちて「私も服屋で『裾上げなしで』って言ってみたい」。余談だが裾上げを依頼するお店ではもう何年も服を買っていない。

頻出フレーズを押さえておけば学生時代にやっていたバスケの話に繋げることもできるし、「実家では屈んで歩きますね〜」と言えば、「実家どこ?」ターンが生まれる。初対面の人との会話が自然発生するからとてもありがたい。

小学校6年生で160cmだった私は中学2年生で急激に成長し、183cmとなった。2年間で23cmという急激な縦方向への伸びに皮膚が追いつかなかったのか、今でも背中の皮膚には横線が入り縞模様を刻んでいる。

また小出が大袈裟な話をしている」と言われそうだが、本当に当時は、「ミシッ」と骨が軋む音がしていた。これは隣の部屋で寝ていた母も証言している。

私は徳島県の田舎で育った。家族構成は父、母、私と姉2人。(と犬と鶏。)父は175cm、母は155cm。母に至っては日本人の平均身長よりやや小さい。なので私の下の名前は「高也」というのだが決して身長が高くなることを見越して名付けられたのではないことを初めに言っておきたい。

余談だが189cmとなると他人の身長を推測することが大の苦手になってくる。全く見当もつかない。そして180cmオーバーの方に立たれると、「でかっ」と思わず口に出してしまう。そして「いやあなたの方が大きいですよ」と突っ込ませてしまって申し訳ない気持ちになる。こんなことを言うと「身長高いからって...」と白い目で見られるかもしれない。でも本当に分かっていないだけなので、どうか私を軽蔑しないでいただきたい。

ちなみに母は「高也は中学校のとき、毎日牛乳2リットル飲んでいた。買いに行くのが大変だった」と証言している。ただし私にはそんなに飲んでいた記憶はない。いつの時代も母とは大袈裟なものだ。


とは言え、この身長には感謝している。歩いていると「あ、広報の人。」と一目で見つけてもらえるからだ。子どもたちも「身長でかっ」と大体笑ってくれる。

最近はマスクをしているため、「変顔をする」という強カードを封印されているので、「目を大きく広げて左右に顔を振る」というピエロを演じている。市役所の広報の男がこんなことをしていれば、少し引いてしまう人もいたかもしれないが、子どもたちの笑顔が撮れればなんでもいいのだ。

これまでもいろんなカードを切ってこどもたちの笑顔を引き出してきたが、最近、大きな壁が立ち塞がった。Aちゃんだ。(サムネのめっちゃかわいい女の子)。

Aちゃんは昨年、さくらこども館(東温市の児童館)の取材で出会った。お母さんの背中にダイブし、親子体操で走り回るとても活発な女の子。クリクリの大きな瞳が輝いて、控えめに言って天使だった。

いつか広報表紙のイメージショットを頼もう。そう心に決めていた。

時は経ち、ついに表紙撮影のチャンスが巡ってきた!

場所、時間、服装まで指定して協力いただくのだから、絶対良い写真を撮らなければ。襲いかかるプレッシャーの中、当日を迎えた。

Aちゃん!久しぶり!

「・・・・。」

あれ。Aちゃん。機嫌悪い?しかし私はまだカードをたくさん持っている。「高身長で目玉顔ふりカード」だ。カードを切る。Aちゃん無言。むしろ余計に機嫌が悪くなる。

まだ心が折れる訳にはいかない。「おなかこちょこちょカード」を切る。が、効果はない。見かねたご家族が声をかけてくれるも、カメラを向けるとジッと顔を強張らせる。「風船カード」もあえなく敗戦。「木の影からひょこっと覗くカード」も無惨に散っていった。

少しカメラと距離をとるためAちゃん車に避難。そしてそのまま眠りへ。

あぁなんということだ。こんなに協力いただいたのに。。

他にカードがないか探したが、そこで気づいてしまった。


あ。もう手持ちのカードない。


高身長のぬるま湯に浸かりすぎたせいで他のカードを増やす努力を怠っていた。。

お母さんに聞くと「今日幼稚園でお芋掘りして、疲れちゃったのかも。。

お母さんの優しいフォロー。でも子どもの体力は無限。面白かったらどんなに疲れていても遊ぶはず。つまりは私の実力不足。

2人目のお子さんを見るために付き添いで来てくれたおばあさまにも申し訳ない。ここまで来たらお願いするしかない。

お母さん。明日再チャレンジさせてもらっていいですか?

こんな無茶なお願いにもすぐにOKを出してくれた。明日こそ何がなんでも最高の笑顔を撮らなければ。


そして次の日。

車から降りるAちゃんの顔は険しかった。

Aちゃん、写真やーの!」。

ボーナスカードである「お母さんの飴玉カード」も、「禰󠄀豆子のキーホルダーカード」も効かず、最後には泣いてしまった。本当にすみません。。

「公園に行きたいのかも」とお母さんからアドバイスをもらって、「公園カード」を切るため場所を移動するもAちゃんの機嫌が戻ることはなかった。

やーのー!」とうとう泣き出すAちゃん。
ポキッ」。心が折れる音がした。

昨日撮ってもらった写真で、お友達からも良かったね〜って言ってもらったものがあるんです

お母さんの一言が、完全に心が折れた私を救ってくれた。紫陽花の横に立ち、少しおしとやかな写真。Aちゃんの視線の先にある紫陽花は、季節を感じさせてくれる。手には落ちていた花。ちょうど紫陽花のブレスレットのようだ。

Aちゃんありがとう〜!!また会ったら絶対撮らせてね〜」と、抱っこするお母さんの肩に顔を埋めるAちゃんに別れを告げ、職場へ戻った。

次こそは必ず笑顔を撮る。それまでにカードを増やさなければ。


こんな感じで愛媛県東温市の広報紙「広報とうおん」は撮影しています。よかったら見てください。



どうも。広報担当小出です。ここまでご覧いただきありがとうございます。ここから添削の時間です。いつも「noteの記事、どこを直せば読みやすくなるか・・」って悩みながら書いています。そこで今回は、初回に出した記事を旧広報担当の人にリライトしてもらいました。

以下はリライト前の記事です。やっぱり読みやすくなってるので、考察を記録します。これが誰かの役に立てば幸いです。

リライトするのは3月に異動した池川さんです。自己紹介はこちら。


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タイトル:身長189cm。それ以外にカードなくて焦った【広報の日常】

タイトルを「焦った」から「無力さを痛感した」に修正。インパクトが違います。

「高いね。何センチ?」
「189cmです」
「あと1センチで190じゃん!」
「ハハハ」

「センチ」👉「cm」統一。余計な情報は削っています。

こんな会話を何度しただろう。身長189cmの私は、初見の方との会話で大体「身長を聞かれる」タイムがある。この次にくるフレーズ第1位は「スポーツ何やってたの?」。第2位は「頭当たって痛いやろ〜」。そしてグッと頻度は落ちて「着る服なくないですか?」。一度、「私も服屋で『裾上げなしで』って言ってみたいわ〜」と言われたことがある。裾上げを依頼するお店ではもう何年も服を買っていないが。

noteの太字機能で抑揚をつけています。「頭当たって〜」を「天井に〜」に修正して実家の件に入りやすく。情景が浮かびやすくなっています。

この身長には感謝している。会話が自然と生まれるからだ。頻出フレーズを押さえておけばスポーツの話題に繋げることもできるし、「頭当たるやろ」ボールを投げてくれると、「実家では屈んで歩きますね〜」と実家の話になって、「実家どこ?」ターンが生まれる。ありがたい。

「感謝」は段落末に移動しています。フレーズの件を止めないため。

小学校6年生で160cmだった私は中学2年生で急激に成長し、183cmとなった。急激な成長に体の皮膚が追いつかなかったのか、今でも背中の皮膚には横線が入っている。おそらく縦に伸びた骨だのなんだのに皮膚の成長が追いつかなくなったのだろう。薄くなった皮膚が重なり横縞模様を刻んでいる。見せることはないが。

「また小出が大袈裟な話をしている」と言われそうだが、本当に当時は、「ミシッ」と骨が軋む音がしていた。これは隣の部屋で寝ていた母も証言している。その時父はぐうすか寝ていた。もちろん成長痛とは苦楽を共にした。苦を与えていたのは他でもないあなただが。

余計な情報を削っています。

私の家族は5人いる。父、母、私と姉2人。(犬と鶏は数に含めていない。)父は175cmくらい、母は155cmくらいで日本人の平均身長だろうか。余談だが189cmとなると他人の身長を想定する行為が大の苦手になってくる。もうどなたでも同じ身長に見えるのだ。逆に180cmオーバーの方に立たれると、「でかっ」と思わず口に出してしまう。「いやあなたの方が大きいですよ」と突っ込ませてしまうのは申し訳ないと思っている。180cm未満の皆様は165cmでも175cmでも全くわからない。こんなことを書いてしまうと「どうせ小出の前に立っても私の身長には興味ないんだな」とか「身長高い人は他者に興味ないんだな」と白い目で見られるかもしれない。もちろんそんなことは全くなく、本当に分かっていないだけなので、どうか私を軽蔑しないでいただきたい。

ちなみに母からは「高也(小出の下の名前)は中学校のとき、1日牛乳2リットルを1本飲んでいた。毎日飲むので買いに行くのが大変だった」と証言を得ている。朝大きめのコップ2杯飲んで、学校から帰ってきてから夕食までに2杯飲んで、お風呂上がりに2杯飲む。1杯340mlとするとまぁそんなもんか。ただし私にはそんなに飲んでいた記憶はない。少し大袈裟に言っているのではないか。さすが母。

一番力を使わせた箇所ではないかと予想。家族、高身長者の悩みと2つの件を分けています。かつ名前が高也の伏線と回収を入れている。テクニシャ〜ン。

話は戻るが、この身長には感謝している。現在、自治体の広報業務に携わっている私はカメラを持ってウロウロすることが多い。歩いていると「あ、広報の人。」と一目で分かってくれるからだ。こどもたちにも「身長でかっ」といじる材料を与えられるし、大体笑ってくれる。

余計な情報を削っています。

最近はマスクをしているため、「変な顔をする」という強カードを封印されているので、「目を大きく広げて顔を左右に振る」というピエロを演じることにしている。側から見れば市役所の広報の男がこんなことをしていれば、少し引いてしまう親御さんもいたかもしれないが、こどもたちが笑って撮影させてくれればなんでもいい。

ここで初めてキーワードである「カード」が出ます。「子供を笑わせる材料」を全て「カード」に統一しています。お母さんの手助けも「カード」として表現しています。

これまでいろんなカードを切ってこどもたちの笑顔を撮影してこれた私だが、最近、大きな壁が立ち塞がった。Aちゃんだ(サムネのめっちゃ可愛い女の子!)。Aちゃんは昨年の6月、さくらこども館(東温市の児童館)へ遊びに来てくれた時に出会った。お母さんの背中にダイブし、親子体操では走り回るとても活発な女の子。クリクリの大きな瞳が輝いて、控えめに言って天使だった。

いつか広報表紙のイメージショットを頼もう。

そう心に秘めていた。
時はたち、Aちゃんのご家族は、2人目のお子さんの1才の誕生日に広報へ写真を投稿してくれた(広報とうおんには満1才をお祝いする写真投稿コーナーはあります)。
「今しかない!」
「広報の表紙撮影にご協力いただけませんか?」
勢いでDMを送ると、ご家族は快諾してくれた。本当にありがたい!

改行を修正して、まとまりを付けています。

場所、時間、服装まで指定させていただいて協力いただくのだから、絶対いい写真を撮らなければ。プレッシャーのかかる中、当日を迎えた。

「Aちゃん今日はありがとう!」

「・・・・。」

あれ。Aちゃん。機嫌悪い?しかし私はまだ切れるカードを持っている。「高身長で目玉顔ふり」カードだ。カードを切る。Aちゃん無言。むしろ余計に機嫌が悪くなる。

心を折る訳にはいかない。「脇の下こちょこちょカード」もある。が、効果はない。見かねたご家族が声をかけてくれるも、カメラを向けるとジッと顔を強張らせる。「風船カード」もあえなく敗戦。「木の影からちらっと覗くカード」も無惨に散っていった。

少しカメラと距離を離してAちゃん車に避難。そしてそのまま眠りへ。

「あぁなんということだ。こんなに協力いただいたのに写真が撮れないなんて。。広報としてあるまじき。。力量不足にも程がある。。他に切れるカードはないのか。」

余計な情報を削っています。

必勝のカードを探したが、そこで気づいてしまった。
あ。他のカードない。しまった。高身長のぬるま湯に浸かりすぎたせいで他のカードを作る努力を怠っていた。やばいやばい。ポケットに入ってないか探したが家の鍵しか見つからない。ご家族に聞くと「今日幼稚園でお芋掘りしたみたいで、疲れちゃったのかも。。」

違います。子供の体力は無限なので面白かったらどんなに疲れていても遊ぶはず。つまりは私の力が足りなかったんです。

改行することで早いテンポを作り、現場の焦り具合を表しています。

2人目のお子さんを見るために一緒に来てくれたおばあさまにも申し訳ない。ここまで来たらお願いするしかない。

「お母さん。明日再チャレンジさせてもらっていいですか?」

こんな無茶なお願いにも嫌な顔せずOKを出してくれたんだから、何がなんでも笑った写真を撮らなければ。

そして次の日。

車から降りるAちゃんの顔は険しかった。「Aちゃん、写真ヤーの!」。お母さんの飴玉攻撃も、禰󠄀豆子のキーホルダー攻撃も効かず、最後には泣かれてしまった。本当にすみません。こんなにご協力いただいたのに、泣かしてしまった。。「公園に行きたいのかも」とお母さんからのアドバイスをもらって、場所を変えて公園に行ってもAちゃんの機嫌は治らなかった。「ヤーのー!」とうとう泣き出すAちゃん。「ポキッ」と心の折れる音がした。

「攻撃」表現をキーワードの「カード」で統一。「公園に行く」こともカードで表現。改行で「やーのー!」と「ポキッ」をまとめることで波を作り、場面遷移しやすくしています。

「昨日撮ってもらった写真で、お友達からも良かったね〜って言ってくれたものがあるんです」

お母さんの一言が、完全に心が折れた私を救ってくれた。紫陽花の横に立ち、少しお淑やかな写真。Aちゃんの視線の先にある紫陽花は、満開に咲き季節を感じさせてくれる。手には落ちていた花。ちょうど紫陽花のブレスレットのように見える。お母さんが手助けしてくれた時に拾った梅が右手に隠れている。

「Aちゃんありがとう〜!!また会ったら絶対撮らせてね〜」と、抱っこするお母さんの肩に顔を埋めるAちゃんに別れを告げ、職場へ戻った。次は必ず笑わせる。それまでにカードを作らなければ。

改行して「次こそは」と強く心に誓う表現に修正。「作る」より、これまでもカードは持っていたので「増やす」作業をするよう修正。

こんな感じで愛媛県東温市の広報紙「広報とうおん」は撮影しています。よかったら見てください。

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いかがでしょうか?比較すると、読みやすくなっているのが分かります。文字の表現って面白いですね!ではまた!

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