強豪チームから学んだスポーツの真の価値【重信中学校男子ソフトボール部】
この記事は広報とうおん2021年10月号に掲載したものです。広報紙は自治会で配られます。公共施設に設置しているものはご自由にお取りください。
2012年、初の日本一に輝いた。
強豪チームとして全国に名を馳せる彼らは
なぜこんなに笑うのだろう。
それは彼らが心からスポーツを楽しんでいるからだ。
勝利も敗北も失敗も全てが学びであり、
学びは成長につながり成長は喜びをつくる。
そんなスポーツの真の価値を教えてくれた
重信中学校男子ソフトボール部の、夏。
第73回愛媛県中学校総合体育大会を制した重信中学校男子ソフトボール部は、第59回四国中学校総合体育大会で準優勝。8月21日から開催された第43回全国中学校ソフトボール大会に出場した。
「守備から試合を作るチーム」。重信中学校で延べ12年間ソフトボール部を率いる橋本清監督は今期のチームを総評する。
全国大会8回出場、うち全国制覇1回、準優勝2回と輝かしい成績に導いてきた名将は「ソフトボールに限らずスポーツは楽しむもの。試合を終えた選手たちが『楽しかった』と声にする姿を、今年も見れたことが良かった」と胸を撫で下ろした。
県大会を制したチームは、8月7日、高知県で行われた四国中学総体一回戦で強豪の大正中学校(高知県)と対戦。「この試合が今期のベストゲーム」と橋本監督は振り返った。髙野秀矩さんと仁野颯詩さん(共に3年生)のバッテリーを軸にした高い守備力で、大正打線を6回まで1失点に抑える。「ピッチャーでチーム一番の打者。彼は二刀流」とチームメイトが信頼を寄せる髙野さんが本塁打を放ち、3ー1で初戦を突破した。
勢いに乗るチームは続く準決勝も11ー0と相手を圧倒。四国大会優勝に王手をかける。
ここまで相手を2失点以内に抑えて勝ち上がってきたチームだったが、決勝戦、土佐中学校(高知県)の機動力ある打線に捕まる。
初回の攻撃、走者一塁で内野安打と犠打、左前打で2点を先制される。その後も相手打線の勢いは止まらなかった。最終7回に意地の3点を返し喰らいつくも3ー10で試合終了。全国への切符は手にしたが、四国大会準優勝で悔しさを滲ませた。
8月22日に茨城県で開催された全国大会。チームは一回戦、関東1位の新島学園中学校(群馬県)と対戦する。
1回表、重信中の攻撃。1番キャッチャー仁野さん。四国大会での悔しさを晴らすかのようにバットを振り抜く。心地よい打球音を鳴らしたボールはレフトを超え、先頭打者ホームランを記録した。
このまま勢いに乗るかと思われたが、続く1回裏、2アウト2、3塁で守備に乱れが起こり、2点を奪われ逆転を許す。
その後チームは持ち前の守備力で追加点を許さなかったが、相手も関東一位の実力を発揮。互いに譲らず、3回から7回まで無失点の拮抗した試合を見せたものの、そのまま試合終了。重信中学校の夏は幕を閉じた。
「負けてしまいましたが、この子たちが全国で闘える実力をつけたことに喜びを感じます。自分たちだけの力で全国に行けたわけじゃない。保護者の皆さんはもちろん、地域の方々、先生、色々な人の協力で舞台に立てた。結果で返したかったが、帰って『ありがとう』を伝えてほしいと話しました。全国の舞台で多くのことを学べたと思う。経験を今後の人生で役立ててほしい」と橋本監督は言葉を送った。
取材当日、全国大会の感想を尋ねると選手たちはすぐに「楽しかった」と満面の笑みで答えてくれた。
「スポーツは楽しむもの」。それぞれの立場でスポーツから学び、それぞれの成長を楽しむ。これこそスポーツの真の価値ではないだろうか。
重信中学校男子ソフトボール部が積み重ねてきた歴史は、また次の世代に引き継がれていく。